NPO法人としての第1回目の活動です。
新年度も始まり、出会いの季節です。
今回はグリーンウッドワークに興味のある人達を募る意味で、木が生で柔らかいうちに加工する体験をしてもらうことに。そう、もちろん“木のスプーン”です。
これまでの協会での活動の経験をふまえ、1日で完成していただくプランを練りました。
難しいデザインなどは省いて、あらかじめこちらが用意した標準的なカタチを作っていただくお手軽コース!
個性って隠しきれないんですね。
あらためてスプーン作りの魅力を発見しました。
加藤
昨年度、グリーンウッドワーク協会では1年間、月1回の勉強会を行ってきました。
今回はその集大成とも言うべき「椅子作り」です。
椅子は、生木で作るのに適した家具です。意外に思われる方もいらっしゃると思います。
家具作りは普通、乾燥した木材を使います。なぜかと言いますと生木(未乾燥の木材)が、乾燥する過程で反ったり、縮んだりするからです。
それは家具作りにとってはちょと不都合なのです、何しろ100ミリの幅の板が数日後に95ミリになっていたらスキマだらけですからね。
そういうこともあり現在では「木は乾燥させてから使う。」が一般的になっています。
でも生木の良いところもあるんですよ。
まづ、木を蒸して曲げるコトができる。難しい話は省きますが1度乾燥(特に人工乾燥)させてしまった木材では難しいこの加工も、比較的簡単にできます。
そしてもう一つ、「木が縮む」と言うことです。そう、長所と短所は同じ事なのです。
これは、木のつなぎ目で効果を発揮します。木製の椅子のつなぎ目はたいてい穴にホゾが入っているいますが、生木で作れば乾燥してこの穴が締まっていき、より丈夫になるのです。
とまあ他にもイロイロあるのですが、説明はこれくらいにして実際の作業風景をご紹介です。
4日間にわたって行われた模様を、ものすご~く省略してお届けします。(でも長いです、^^;)
今回参考にしたのは、私達の師匠マイク・アボット氏の椅子。
製作時間の関係で、小さめな肘掛が無いタイプを選択。
寸法を確認してさっそく木取りです。
材料は、近くで間伐してきた楢(ナラ)の丸太。英語で言うところのオークですね。
もちろん正真正銘の国産材です、^^。
さらに小割にして、椅子の脚や貫にしていきます。
今回の椅子作りの大半はこの作業です。
木を割って、削る。普段の生活ではまずありえないこの作業。
ですが木が生きていることを実感できるひと時ではないでしょうか?
1日目はここでおわり、丸棒削りは宿題としてお持ち帰りです。
そうしてできた、椅子の後ろ脚を蒸し曲げします。
昔から行われてきた、木に熱を加えることで組織を柔らかくし変形させたのち冷やして固めるという方法です。
蒸し器と型があればご家庭でも簡単にできますよ。
60分ほど蒸したアツアツの後ろ脚を型にはめて、グイッと押さえます。
すると、直径40ミリ弱の丸棒もごらんと通り、美しい曲線を描いてまがります。
←背もたれの板も同じように。
もしこれら形を木の塊から削り出したら、とてもたくさんの材料が必要です。資源の節約!?
さらに、曲げることで繊維を切らず、折れ難く「しなやか」なになるのです。
こんな所も、グリーンウッドワークのすぐれた所だと思います。
とここまでで、二日です(宿題を含めて)。あと二日で完成!できるかな?、、といった感じ。
とはいえ、食事は大切です。恒例?の豪華ランチタイムもありました、^^。
早咲きの桜を眺めながらお腹もいっぱい。元気になった所で、いよいよ作業も大詰めです。
予め同じ太さにしておいたホゾをヒーターなどで数日暖めて乾燥させておきます。
それを、まだ湿っている脚に穴をあけて差し込むと→→時間が経って乾燥が進めば進むほど締まって抜け難くなる。
生活の中で生まれた知恵なんですね~、素晴らしい。
とはいっても、そんなにガバガバでは強度はでません。
ある程度の加工精度が必要です、乾燥すると穴より0.5ミリぐらい大きめに作るのがポイントです。
そして、穴の位置に印をつけて、角度を確かめながら手回し錐で穴をあけていきます。
そして組み立て。
この4枚の写真の間にかなりの時間と、様々な椅子作りのテクニックがあるのですがそれを書き出すと1冊の本になってしまいます。残念ながら今回は割愛させていただきます。いずれは、出版したいと思いますので乞うご期待!
と軽く宣伝もさせていただいたところで、、^^。
最終段階です。
背もたれの上部に抜け止めのピンを打ち込みます。
この時点で、すでに、じゃっかん時間オーバー。
やはり4日間で、この椅子は厳しいということがわかりました。
しかし、完成させた喜びはひとしおでした!人の椅子ですが、笑。
どうでしょう!この美しさ。
丁寧に削られたナラ独特の木目模様。
蒸し曲げで作った曲線。
いい意味での手作りの味が出ています。
このあと、塗装をして座る面をヒモで編み込めば椅子として完成ですが、今回はここまで。
機会があれば後日ご紹介したいですね。
数ヶ月前まで立ち木だったものが、他の木を育てるために間伐され、朽ち果てるその前に椅子に生まれ変わる。
モノ作りの原点がそこにあるような気がしてなりません。
グリーンウドワークで椅子作り -完-
さてご報告が遅れましたが、私達グリーンウッドワーク協会は2008年4月1日にNPO法人となりました。
より多くの人に知っていただけるよう活動の幅を広げていきます。
人は森との関わりなしには生きていけません、しかし多くの人にとってそれは遠い存在になっている今、日々の暮らしの中に感じていける提案をしていけたらと思います。
今後とも、よろしくお願いいたしします。
NPO法人グリーンウッドワーク協会では、岐阜県美濃市を拠点に会員・一般向けの講座を行っているほか、全国へ出前講座にも出かけています。
2008年3月NPO法人認証。
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