シルバーウィーク最終日の9月23日秋分の日。
そう、お彼岸の中日ですね。

当協会では、グリーンウッドワークで使用する刃物を外国から輸入して会員の方に販売しています。
この夏その道具がそろったものの、刃物は実はそのままでは使用できません。
研ぎが必要なのです。しかし、研ぎは難しい。
そんな会員の皆さんの御要望にお答えして、本日研ぎの勉強会が開かれました。
皆さん真剣な面持ちで説明を聴いています。

まずは、日本の鉋(かんな)と外国の鉋の違いから説明です。


日本では、研ぎは一生、ちゃんと切れないのは修行が足りないからだ、などと言われますが、
イギリスでは、刃物がきちんと研げないのは道具が悪いからだと言われるそうです。
グリーンウッドワーク協会が目指す研ぎの姿は、もちろん後者です。
一般の人でも簡単に、そして安価にプロに近い技術を身につけることが目標です。
はじめに、外国の研ぎ方を紹介したDVDを見ました。
海外では研ぎにサンドペーパーや研磨剤を多用するそうです。

今回は三つの刃物を研ぎました。
まずは南京がんな。
裏が平面の刃物は、まず裏押しという作業が必要です。
これはなかなか難しいです。

表面のしのぎ部分の研ぎは治具を使用します。
これにより飛躍的に早く正確に研げます。

次に、スプーンガウジ(さじ面を削るための彫刻刀)です。
これは、さまざまな研ぎ方があるのですが、今回は溝の付いた砥石を使いました。

内側の刃返りを取るのは、海外の事例を参考に、研磨剤を使用しました。
ホオノキの平板の縁を丸く削り、その面に青棒(酸化クロム)を擦り付け、そこに刃物を押し当てます。


最後に大物の、ドローナイフ(銑)です。
これは、削り馬に縦に固定して、砥石を手に持って研ぎました。

うーん、自分で研いだ刃物の切れ味はまた格別ですね。


参加者の皆さんからの感想は、「研ぎは奥が深い」「理屈がわかって良かった」「年休をとって参加した甲斐があった(笑)」等、好評でした。
(文責:小野)
- 2009/09/23(水) 23:59:59|
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天高く
馬肥ゆる秋。
馬といえば、そう、先月途中で終わってしまった削り馬づくりの補講が本日行われました。
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今回登場した新兵器(?)は穴あけ用の木型です。
これさえあれば、面倒な墨付けも簡略化できて、時間短縮間違いなし!

この治具を材にセットして、これをガイドに手回しドリルで穴を開けます。

材の木取りが完了したら、仕上げの糸面取りをします。
最後ももちろん人力の手がんなです。

お昼ご飯も秋ですねえ。
みなさんお弁当の中身も美味しそうですが、器がいいですね。
曲げわっぱに漆塗り。金粉なんかもあしらっています。
箸はもちろん、箸袋も手づくりだそうです。

一日半の工程で完成に至りました。
参加者からのコメントです。
「これからは、このじゃじゃ馬の調教に専念します!」
とのこと。

(文責:小野)
- 2009/09/20(日) 18:48:21|
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秋も深まり、コナラのどんぐりがころころと転がっています。
秋といえば、そう、グリーンウッドワークの季節!
9月もスプーンづくり講座を開催します。
第4回「グリーンウッドワーク スプーンづくり講座」講師:久津輪 雅
日時:平成21年9月27日(日)9時~17時
定員:10名
場所:森林文化アカデミー森の工房周辺(岐阜県美濃市曽代88)
※材料費、保険料などがかかります。詳細お問い合せください。
【お問い合せ・お申し込み】
事務局;小野 敦
greenwoodworker@gmail.com
- 2009/09/18(金) 22:24:31|
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空気が爽やかになってきた9月13日。学生対象のスプーン講座を開催しました。
材料は近くの山から伐り出しました。
出来るだけ枝が少なく、幹の曲がりやひねりがないものを選びます。
この木は胸高直径が約10センチ、樹齢はだいたい25歳くらいでした。

新鮮なリョウブはろくろで削る時、水しぶきが跳ね上がるんですよ。

二つに割った材料を銑で削っていると、何故か中から金属片が出てきました。
昔、釘か何かが打たれた後そのまま残って、成長とともに木が巻き込んだのかもしれませんね。

近くを通りかかった子ども達は、木のスプーンに興味津々。

そして、もう1人お客さんが・・・ウッキー!

今回少人数でのんびりとスプーンづくりに取り組みましたが、ほとんどの皆さんが二本ずつ完成しました。


(文責:小野)
- 2009/09/17(木) 00:00:00|
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残暑厳しい8月30日。
森の工房にて削り馬づくりを行いました。
最近個人でグリーンウッドワーク用の刃物を揃えた皆さんが、次に必要なのは個人の削り馬。
これさえあれば、いつでもどこでもグリーンウッドワーカーです。
下の写真、右奥が今まで使われていたもの。左手前が今回つくるNewバージョンです。

どこが違うかというと、前足が1本になったこと。

このことによって、部材の取り外しが無くなり、組み立て解体のスピードが飛躍的に速くなりました。左奥が新しい馬です。とてもコンパクトになりました。

今回はこの新しい削り馬をつくっていただきました。
まずは、講師の久津輪先生から削り馬の歴史やつくり方についてのレクチャーです。

そして、制作に入ります。
今回の企画、馬をつくること自体を楽しもうというのがねらいです。
そう、もちろん人力です!切断はのこぎり。
クランプで材を固定することにより、思いのほか正確に切断できます。

穴あけは、手回しドリルです。
軸をおでこで固定して、一点を見つめながら垂直に穴を開けます。

そして、丸棒はもちろん足踏みろくろで成形します。


この日は今年の夏にしては珍しく暑い日だったので、休憩時間のしそジュースとかき氷が疲れた体に一服の清涼感を与えてくれました。

結局時間オーバーで最後まで仕上げることは出来ませんでしたが、いつもとまた違ったグリーン(?)ウッドワークの楽しさを味わえた一日でした。
(文責:小野)
- 2009/09/16(水) 00:00:00|
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夏真っ盛りの8月18・19日に、大阪府堺市にある「堺自然ふれあいの森」にスプーンづくりの出前講座に行ってきました。ここもかつて里山として使われていた林ですが、燃料革命とともに放棄されていました。ゴルフ場の建設計画もありましたが地元の方々の反対運動により開発の危機から逃れ、3年前に里山公園として生まれ変わりました。
ここには60歳のおじいさんの木があります。
シリブカガシです。この木は岐阜県では一部の地域でしかみられない貴重な樹種です。

一日目の午前中は、里山整備体験から始まります。手入れがされず、暗くなった林内には日光が届かず、下層植生が貧弱になります。昔は柴刈りや落葉かきのような人の手が入ることによって、無意識的に豊かな森がはぐくまれていたのです。今回は常緑低木の除伐を行いました。これにより林内が明るくなり、生物の多様性も増します。


次に、スプーンづくりに使用するリョウブの木の伐採を行いました。このように適度な間伐を行うことにより、周りの樹木の成長を促します。

午後からいよいよスプーンづくりに取り掛かります。
削り馬で円筒形に削りますが、思いのほか堅くて皆さん苦労されていました。

今回は全員に木の型に合わせながら、ろくろで削ってもらいました。

二日目はろくろでこん棒状に挽いたものを、フローで二つに割るところから開始です。
しかし、繊維のねじれが大きく、素直に二つに割れてくれません。
急遽、のこぎりで切断することにしました。

最後は二日間の振り返りです。
一人一人スプーンを手に感想を聴かせていただきました。
時間ぎりぎりまでかかった方もいましたが、みなさんとても良い形に仕上がりました。





そして、今回は出来上がったスプーンでゼリーを食べていただきました。

昨日自分で伐った木がスプーンになるなんて、いつもながら感動を覚えます。
『この講座は緑の募金事業「国民参加による間伐及び間伐材の利用の促進事業」の助成を受けて実施しました』
除間伐面積:約0.01ha 除間伐本数:約20本
(文責:小野)
- 2009/09/15(火) 01:08:23|
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高山の二日目(7月26日)の目的は、飛騨・世界生活文化センターにおいて行われた「夏休み子ども体験フェスタ2009」の中の「森の縁日」というイベントへの参加です。

今回はリョウブの指輪づくりです。
まずは、手回しドリルで自分の指に合った大きさの穴を開けます。
穴の大きさは乾燥後に縮むことを考慮して、少し大きめにするのがコツです。

次にのこぎりで、切断します。

そして、足踏みろくろで成形。

最後に焼きペンで好きな模様を描きます。

当日は生憎の雨にもかかわらず、たくさんの人出がありました。
こちらもろくろ二台体制で臨みましたが、イベントの開始から終了まで参加者が途切れることがなく、多くの方に指輪づくりフルコースを体験していただくことができました。


世界にたった一つの自分だけの指輪。大切にしてくださいね。
(文責:小野)
- 2009/09/14(月) 00:04:38|
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7月25日、26日と会員の方9人で飛騨高山に行ってきました。
25日の目的地は飛騨の里という合掌造りの家屋が建ち並ぶ観光施設です。
この施設の一角で行われている有道杓子(うとうしゃくし)の実演を見学しました。

有道杓子とは高山市久々野町の有道地区に江戸時代から伝わる木杓子で、杓子の中の王者とも称されます。今は有道しゃくし保存会の方々が技術の伝承と保存に努めていらっしゃいます。

素材はホオノキの生木です。
昔の木工はすべてグリーンウッドワークだったんですね。
使う部分は辺材(白太:周囲の白い部分)だそうです。
刃物はなんと出刃包丁を使います。
そしてグリーンウッドワークと同じ銑も使います。
固定具はつくる方がそれぞれ工夫されているようです。
これはまるで削り馬そっくりですね。


さじ面はしゃくしがんなと呼ばれる特殊な刃物で、てこの原理を利用しながらすくっていきます。
この日は特別に体験までさせていただきました。

会員の皆さん全員目が釘付けです。
昼前に到着しましたが、夕方の実演時間ぎりぎりまでお邪魔してしまいました。
保存会のみなさま、ありがとうございました。

この日は高山市内のユースホステルに宿泊しました。(つづく)
(文責:小野)
- 2009/09/13(日) 01:54:37|
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7月18日19日に福島県いわき市で活動されている「NPO法人いわきの森に親しむ会」に出前スプーン講座に行ってきました。
いわきといえば、そう映画「フラガール」でお馴染みの常磐ハワイアンセンターがあるところです。

そして、かつて炭鉱で栄えた町です。

今回はいわきの森に親しむ会の会員さん10名に体験していただきました。
まず、森の木を伐ることから始めます。
この木はヤマザクラです。

普段から山の手入れをされていることもあり、伐採されたヤマザクラはあっとゆう間に枝払い玉ぎりされてスプーンづくりの材料になってしまいました。


設計図どおりに削っていきます。

二日目の午前中にはスプーンが完成しました。
どうです。この出来栄え。皆さん初体験とは思えないような仕上がりでしょう。

そして最後は皆さんでつくったばかりのスプーンを使ってアイスのかき氷を食べました。
食べやすさはいかがだったでしょうか?

『この講座は緑の募金事業「国民参加による間伐及び間伐材の利用の促進事業」の助成を受けて実施しました』
間伐面積:約0.005ha 間伐本数:1本
(文責:小野)
- 2009/09/06(日) 00:22:00|
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7月5日、第3回スプーンづくり講座が開催されました。
この日は「木育の本」の著者であり、木工関係の著作の多い西川栄明さんが北海道から取材に来られました。皆さん木育って御存知ですか?西川さんの本に寄ると「木育とは、子どもをはじめとするすべての人が『木とふれあい、木に学び、木と生きる』取り組みです。それは、子どものころから木を身近に使っていくことを通じて、人と、木や森との関わりを主体的に考えられる豊かな心を育むことです」

使った材は「ヤマザクラ」です。今日も、丸太からクサビを使って割っていきます。

西川さんにもグリーンウッドワークを体験していただきました。

工程サンプルに従って皆さん形をつくり込んでいきます。




休憩時間には西川さんを囲んで話はつきません。

この日取材された内容は、10月末~11月初旬にごろ出版される本に掲載される予定です。タイトルは『木のカトラリーと器たち ~木工作家がつくる、つかう、たべる~』の予定です。お楽しみに。
(文責:小野)
- 2009/09/03(木) 22:40:41|
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ながらくブログの更新が滞っていました。
本日より少しずつではありますが、過去にさかのぼって協会の活動を御報告いたします。
6月28日スツールづくり最終日です。

前回までに側面(妻手側)の組み立てが完成していましたが、この日は正面(長手側)のホゾを差し込みます。ここで肝心なのは、穴あけ時に直行するホゾを少し欠き取るところです。これで、側面のホゾがより抜けにくくなるのです。

いよいよ組み立てです。ポニークランプでしっかり固定したあと、カネ(直角)の確認をします。

一番早く進んでいる佐藤さんは、アンモニアで着色して渋い茶色に仕上がっています。この日は1人だけ先行して座編みに入りました。

そしてやはりお楽しみはお茶タイム。加藤さんのスコーンを片手に木工談義に花を咲かせます。

組み立てが完了し、足の長さを決めたところで塗装に入ります。今回は荏油(エゴマの油)と蜜蝋ワックスをかけました。

2月28日に始めたスツールづくりですが、ちょうど4ヶ月を迎えたこの日、座編みは各自の宿題となりましたが、晴れて完成に至りました。
それにしても、ナラは堅かったです。
(文責:小野)
- 2009/09/02(水) 23:20:02|
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