グリ-ンウッドワーク協会では、昨年1年間、岐阜県立森林文化アカデミーと共同で「ゴッホの椅子」と呼ばれるスペイン製の椅子について研究・調査を行い、夏には札幌でゴッホの椅子づくり講座を実施しました(これまでの経緯については
森林文化アカデミーのブログ記事をご覧ください)。
この研究をまとめたものが、3回に分けて雑誌に連載されました。
掲載誌はイギリスの「Living Woods magazine」です。
グリーンウッドワーク、里山利用、持続可能な暮らしなどがテーマの雑誌です。
http://www.living-woods.com/lw31-nov-dec-2013/連載3回目(最終回)の表紙を飾るのは、筆者の久津輪さん(岐阜県立森林文化アカデミー准教授)です。

初回の表紙は47年前のスペインの職人さん、
2回目の表紙はイギリスで趣味としてのグリーンウッドワークを広めたマイクアボットさん。

回を遡る毎にグリーンウッドワークのルーツをたどるような、そんな表紙にも感慨深いものがあります。
時代を超え、たくさんの人を介して伝わった椅子「Viral Chair」
今後もいろいろな人を繋げていくことでしょう。
(小野)
- 2014/05/20(火) 08:55:00|
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5月3日(土)~6日(火)の4日間、
岐阜県立森林文化アカデミーにおいて、
生涯学習講座「ゴッホの椅子づくり」が開催されました。

県内外から参加された10名の受講者が、
生木から4日間で椅子をつくりあげました。

使った材は小径のシロモジ。
葉っぱの形は特徴的な「先割れスプーン」型

春先には黄色い可憐な花をつけます。

3月に行われた椅子づくり同様、今回も美濃市内の林業団体
「山の駅ふくべ」の方々に伐り出していただきました。

広葉樹は伐採されても切り株から何本もの新しい枝(ヒコバエ)が再生します。
このヒコバエは、我先にと競うようにまっすぐ天に向かって育ちます。
かつて炭焼きが盛んだったこのふくべの山には、
人の手が繰り返し入っていたため細くてまっすぐな木が多く自生しているのです。
身近な山から材を調達する取り組みがいよいよ本格始動です。

木の匂いはいかがでしょうか?青臭い?

同じクスノキ科のクロモジほど良い香りはしませんが、よく嗅いでみるとほのかな香りが。
丸太を割って削ってホゾ穴をあけて、生のままで組み立てると、
ホゾの乾燥収縮とともに接合部が緩んでくる恐れがあるため、
今回は貫や背板といった横につなぐ材を密閉した空間に入れて、
電気ヒーターで強制乾燥を掛けました。

今回初めての取り組みとして4日間連続の講座を組みました。
体力的にはなかなか大変だという方もいらっしゃいましたが、
4日間普段の生活から離れて緑の多い環境の中でじっくりと木に向き合う時間は、
何物にも代えられないものだったようです。

そして完成した美濃市の材でつくられた10脚の椅子たち。
東は東京から、西は愛媛までそれぞれ家路につきました。

家で座ったり、眺めたりしながら、皆さんと共有したこの時間を思い出してもらえればうれしいです。
(小野)
- 2014/05/15(木) 16:02:28|
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先月に引き続き、郡上市白鳥六ノ里の森に行ってきました。
5月17日(土)・18日(日)に開催する「恵みの森を味わうグリーンウッドワークツアー」の下見と準備が目的です。
この真ん中の木がコシアブラ。
作業道拡張工事の支障木として伐採される予定の木です。

枝先には新芽が開き始めています。
来週の講座では倒したコシアブラの山菜が取り放題(の予定)です!
実際に小径のコシアブラを伐り倒してみました。
この木は非常に素直な木で、マンリキできれいに割れてくれます。

材は緻密で、気持ちよく削れます。

講座では二日間じっくりと時間を掛けて、こんなお皿とスプーンをつくっていただく予定です。

コシアブラの匂いを嗅いでみると、なんとなく油の匂いがします。
もしやと思い、ロケットストーブで燃やしてみると、生のまま燃え上がりました。

お昼はもちろん山菜料理です。

木質バイオマスエネルギーでささっと炒めて、

山菜パスタの出来上がり。

森の恵みに感謝です。
次にグリーンウッドワーク作業予定地の草刈り。

広場を覆っているササを刈払機で薙ぎ倒します。
さあ準備万端。

六ノ里の森が参加者の皆様のお越しをお待ちしております。

(小野)
- 2014/05/12(月) 01:20:12|
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これは鳥屋籠。
鵜飼の現場で使われる鵜籠ではなく、鳥屋に置いて鵜がこの中で寝るための籠、でした。
今日、ぎふ長良川鵜飼の鵜匠さんが持って来てくださったものです。
10年くらい使ってきたものだそうで、元々の形が解らないくらい変形し、なんとも凄まじい有様です。

全体的に短いヒゴで補修されていて、大きく変形しています。

ひっ傾いてしまっている。

ヒゴがかなり広い範囲で欠落していて、大穴があいています。
竹が腐るだけでなく、鵜が突いて大穴をあけることもあるそうです。

籠のヒゴは皮を外側にして作ってあるんですが、皮か身か解らないくらい全体的に削れてしまっています。
鳥屋籠は鵜の寝室なんで、それなりにフンで汚れます。これをガシガシ洗うため傷みも激しいそうです。

鳥屋籠を間近で見るのも触るのも初めてのことで、それがこの有様では製作するための参考にはし難いのですけど、ともかく作ってみることにしました。
作ったらまた皆さんに報告します。
(キト)
- 2014/05/07(水) 23:35:44|
- 竹細工の技術継承
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